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回転数について~水の循環量の話

#マリンアクアリウム#水槽メンテナンスサービス#水槽飼育#海水水槽

メインポンプ
HSBAOのメインポンプ『DEP8000』(SAFF Design)

こんにちは、いつも閲覧ありがとうございます!

愛媛・高知エリアで水槽メンテナンスサービスをしているAQUASCAPEです!

OF水槽の説明も終えたところで、回転数についての話をしたいと思います。

回転数とは~何回水槽の水が入れ替わるか?

回転数とは、水槽内の水が何回入れ替わっているかの指標です。

1時間で何回水が循環しているかってことですね。

例えば外部フィルターの水槽で、水槽の水の量が100Lとしましょう。

そこについてる外部フィルターの流量は1時間で1000L(1000L/h)水を送り出せるとしましょう。

するとその場合の回転数は【フィルターの流量÷水槽の水量=回転数】で計算します。なので、

1000L ÷ 100L = 10回転

この水槽の回転数は10、つまり1時間で10回水が入れ替わってますね。

もう一つ、OF水槽の場合も考えてみましょう。水槽の水量は100Lですが、濾過槽の水の量も考慮しないといけません。仮に濾過槽の水が50Lとしましょう。

そしてメインポンプの送水量は1000L/hとします。そうなると

1000L ÷ (100+50)L =6.66…回転

この場合の回転数は約6.6です。

回転数はなぜ重要?

さてこの回転数、低いとあまり良くないです。水槽を設置する段階である程度考えとかないと、のちのち何をしても上手くいかない水槽になっちゃいます。

なぜかというと、【回転数=水を何回濾過できか?】という意味でもあるからです。

↑の例でもあったように、外部フィルターの水槽の回転数が10回だとすると

1時間で10回濾材を通過するということです。

当然何度も濾材を通過してくれた方が水がキレイになりますよね!!

それに理論上全ての水が10回濾材を通過するといっても、そんな都合よく循環するとも限らないので回転数が低いと全く濾材を通らない、濾過されてない水もあるかもしれません。

回転数=循環量とも言いますが、せっかく水をキレイにする濾過フィルターを使っても水が循環してないと意味がありません…

なので回転数=水槽のシステムを決定づける要因なんですね。

どのぐらいの回転数が理想なの?

これも水槽によって違いますが、おおまかな目安を言うと

水槽サイズ目標回転数
~90cmの海水水槽8~12
150cmの海水水槽7~8
150cm以上の大型海水水槽5~6
水草水槽5~8

入れてる魚の数とかで一概には言えないですが、筆者的にこのぐらいを目安に考えてます。ホントのところは水槽サイズより水量を基準に考えるべきですが、わかりやすくこんぐらい。

海水水槽の方が汚れやすく濾過能力が必要になるので回転数は高めを要求されます。

でも大型水槽の場合、水量が多いのでその分水の汚れ具合が緩やかになるので回転数が少なくてもいける感じ。それに大型水槽の回転数を10近くにするのってすごくハイパワーなポンプが必要で、排出される水の勢いが凄いことになるのでこのぐらいにしてる、って面もあるかな…

水草水槽は水草自体が成長するために汚れを養分として吸収してくれるのもあるし、回転数を高くしようとするとフィルターから出てくる水の量が激流になるので、水草や熱帯魚たちが住みにくくなるので低めでもいける感じです。

あくまで参考までに~。

回転数の落とし穴~注意点

ここまで説明して回転数の計算も紹介しましたが、実はこれだけでは全く正確な回転数は出ておりません…というより間違っています。。。

というのもこれはあくまで理論上の計算。実際はというと全く計算通りにはなりません…!

そしてほとんどの水槽が理想的な回転数にはなっていないんじゃないかと思います…汗

それでもあくまで理想値の話なので、上手くいってるなら問題ないんですけどね…

じゃあなぜ計算通りにならないかというと、

『揚程』や『配管の圧力損失』が計算されてないからです。簡単に説明すると

揚程:水を上に持ち上げる力。水槽に水を持ち上げるときに重力がかかるので流量が落ちる。

圧力損失:たとえばパイプが細かったり、直角の部分があると抵抗がかかり流量が落ちる。

このような理由でポンプが公表している流量より実際は下がってしまいます。

※なおこの計算は超複雑でして…次回にもう少しだけ踏み込んだ内容に触れますが…

【まとめ】

  • 回転数≒ポンプの送水量÷水槽の水量
  • 回転数=何回水を濾過できたか
  • 理想の回転数はそれぞれことなるが、海水水槽なら10回転を目標としたい
  • 実際の回転数は揚程や圧力損失でもっと下がる

なので目標の回転数を出したいなら、ポンプの選定はパワーに余裕を持って1段階ハイパワーなものだと安心しやすいです!

この記事の著者

AQUASCAPE

首都圏でアクアリウムの大手メンテナンス会社に勤務し2000回以上のメンテナンスを経験。
アクアリウムの魅力を広げるため初心者向けのコンテンツからディープな話まで幅広く情報発信をしている。
個人宅の水槽からオフィス・クリニックの水槽まで、前職の経験に基づいたアドバイスを提供していきます。
1991年生まれ。

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