魚のケアと魚病薬について
魚のケアと魚病薬のこと、海水魚を始めたばかりの人は何をすればいいか分からず迷ってるんじゃないでしょうか?
今回はこの辺りの基本情報について解説していきましょう!

魚の世界にも病気はある
人間は空気中の病原菌で感染症になったり不摂生な生活で病気になりますが、魚たちはどうでしょう?
水中で生活してる魚たちも病気になります。空気中だろうが水中だろうが病原菌はいますし、生き物の例に漏れず魚にも症例があるんですね。
実は水槽で発生する魚の病気は沢山あるんですが、その中でも一番有名なのは『白点病』でしょう。
これは海水魚でも淡水魚でも発生する病気なので知名度も高いです。
発生する原因は様々ありますが、白点病が発生する環境に多いのは”過密飼育”だと感じます。
アクアリウムを始めたての頃は楽しくて次から次へと魚を追加して、気づけばギュウギュウの過密飼育になってた…というのはよくあることです。
そういった初心者あるあるの病気ですが、おそらくアクアリストならほとんどの人が白点病は経験してると思います…笑
なので白点病が発生しても落ち込まずに。。ベテランもみんな通る道ですので…
代表的な病気”白点病”とは?

白点病は『淡水魚水槽(熱帯魚水槽)』でも『海水魚水槽』でも発生します。
そのため水槽をやったことがある人は白点病のことを耳にしたことが多いと思います。
ただこの白点病、「蔓延して魚が全滅してしまった…」という話もあれば「白点出てたけど何もしなくても知らないうちに治ってたよ」という話もあります。
なので白点病が危険な病気なのか、そんなに焦らなくてもいい病気なのか意見が分かれることがあります。実際のところはどうなんでしょうか?
これについては断言は難しいと言うのが正直なところ…実際どっちの事例も見たことがありますので。。。
経験則から言うと、全滅するパターンの時は水槽の設備や状態が悪かったのだろうと思います。白点虫が非常に蔓延しやすい環境、それに加えて魚たちの免疫力が下がっている状態もあったのだろうと思います。
逆に何もしなくても治ったというのは比較的水槽環境が良く、魚の免疫力も十分だった、というのが要因じゃないかと思います。
ただ共通して言えるのは、『病気が発生してしまうような環境になっている』ということでしょう。
どんな環境の水槽でも白点虫は存在すると言われますが、それでも病気が発生しないのは発症するような環境では無いという事。
すぐに治ったパターンでも『蔓延するほど悪くはないが、発症するぐらいに環境変化が起きている水槽』ということです。
病気は治療することより発症しない環境づくりを目指すようにしましょう!
海水魚水槽の厄介な病気
海水魚の病気はいくつもあるんですが、その中でも簡単に治療しやすい病気もあれば、発生したが最後のなかなか対処が厳しい厄介な病気もあります。
中でも対処が難しい病気を3つをピックアップ。
1.ビブリオ感染症
これはビブリオ属の細菌類を原因とした細菌感染症です。
菌種が多く原因菌を断定するのは難しく、症状も実に様々。内出血や肌荒れなどがあるが病名がわからないものはとりあえずビブリオ病、とするぐらいに様々な不調を引き起こします。
ビブリオ属菌は間違いなくどの水槽にもいますし、病気を引き起こす対象は魚だけでなくサンゴなど無脊椎動物も。気づいてないだけでビブリオ病も白点病並みにアクアリスト全員が経験している病気じゃないかと思います。
ビブリオ病を対処するには薬浴がいいでしょう。
2.トリコディナ
『トリコ』と略すこともある、この病気。体の表面に白い膜を張ったような状態になるんですが、これが致死率が高く進行も早い病気なんです。。。
特にカクレクマノミに発生しやすいので、見たことある人もいるんじゃないでしょうか?
寄生虫が原因の病気でして、一度発生すると長らく病原虫が残ったりします。だいたい1か月くらい魚を抜いて回すと寄生サイクルを断てるようなイメージですが…正確にどのくらい期間が必要かと言うのは難しいところです。
3.ウーディニウム
これは症状が白点病に似てるので勘違いして「そのうち治るでしょ…」と考えてると手遅れになることがあります…。
白点病よりかは白い粉が細かいのと、ちょっと薄っすら黄色っぽいことが多いです。
対処法は白点病と同じ感じで薬浴がいいんですが、ウーディニウムの方が致死率は高くヤバい病気です。
他の魚にも広がりやすいので、発生したらただちに対処したいところです。
魚の病気はどうやって治療する?

人間には飲み薬や注射などいろんな治療法がありますが、水中の魚はどうやって治療すればいいのでしょうか?
一般的に魚の治療には『薬浴』という方法があります!
これは市販されている魚病薬=薬を水に溶かして病原菌を抑えるという方法です。
ただ薬を溶かすと水の色が思いっきり変わってしまうので、飼育中の水槽には入れない方がいいです。
薬浴するなら専用の水槽(トリートメントタンク)を用意するのをオススメします。
そしてもう一つ、『淡水浴』という方法が有効な場合もあります!
これは主に寄生虫病に多く、特に”ハダムシ”に対してはよく効きます。
淡水浴は魚病薬を買う必要も無いのでお手軽です!
…ただし、水温ショックやpHショックにならないよう淡水浴前の調整は忘れないようにしてください!
薬は買っておいた方がいい?
「薬浴ってたまにしかやらないから、わざわざ薬を買うのもなぁ…」と購入を渋っていませんか?
人間の薬でも「たまにしか使わないから…」といってあまり買わない人、あるいは買ったけどそれ以降何年も使わずに残っている人、いますからね…
ただ、急な事態にも対処できるよう薬は常備しておくことを勧めます!
水槽の魚たちはちょっと油断したらすぐに病気が出てしまうことも珍しくありません。
薬をケチって魚が亡くなってしまったら、魚の購入代はそのまま損失です…薬代より大きな損害になってしまうでしょう。
なによりお金の損得じゃなく、一つの命に対する向き合い方として薬は持っておいてあげて欲しい、というのが願いですね。
薬浴とは?押さえるべき基本知識
ここで『薬浴』について基本的な情報をおさえておきましょう。
『薬浴』はどうやるのかというと、薬を溶かした水槽を用意して”薬が溶け込んだ水”の中で魚を治療していくことです。
薬浴では基本的に”薬浴専用水槽(トリートメントタンク)”を用意してそこに魚を移して治療します。今魚がいる水槽に直接薬を溶かすのは止めましょう。
次に薬の分量。これが意外と難しいのですが、使用量はほぼ全ての製品に説明書があるので、それに従って『規定量』を守り、規定量以上は入れないようにしましょう。
あるいは規定量の半分程度で様子を見るのもアリです。弱っている魚は薬の影響がとどめの一撃になってしまうこともありますので…。
最後に薬浴の期間ですが、おおよそ1週間ほど続けましょう。ただしこれは症状によって前後します。
長い時は月単位でやらないと完治しないこともありますが、念には念を入れて病原菌が残らないよう長めにやれば安心でしょう。
元気そうであれば徐々に薬の濃度を薄くしていってあげるといいでしょう。
まだ駆け出しのアクアリストでよくあるのが「一回薬を入れた水で泳がせたから治療は完了!」というパターン。
1回だけではあまり効果は無くて、何度でも再発することがあります。
病気を防ぐには導入前のトリートメントが大事!

魚の病気は発症すると治療が大変…となれば病気は”治療”より”予防”に力を入れるべきです!
魚の病気が発生しやすいタイミングで多いのが『新しい魚を迎え入れた時』です。
実はここが一番気をつけないといけないところで、病原菌は外から持ってきていることがほとんどです!
せっかく何年も上手く飼育していたのに、外から病気が入り込んできて半壊…という事態にならないように、魚を迎え入れる前に”トリートメント”をしっかり行いましょう。
トリートメントというのは本水槽に入れる前に病気や傷がないかしっかりチェックし、輸送で弱った魚の状態をしっかり健康体に戻してから導入する作業です。
まずはトリートメント専用の水槽、”トリートメントタンク”を準備しましょう。
このトリートメントタンクにはレイアウトはほぼ入れず、酸素供給のエアレーションや濾過装置、温度管理のヒーター&クーラーがあればベストです。要は最低限の飼育環境があれば大丈夫です。
この水槽でしばらく過ごし病気の発症がなければ安心して本水槽に合流させることができます。もし病気になってもそのまま薬浴に移行できます。
そしてこのトリートメントの時に餌付けまで行うとベストですよ!
あと、病気が発症してなくても魚の粘膜保護のために少量の魚病薬を入れる方も多いです。その方が安心ですので。
殺菌灯って効果あるの?

皆さんは水槽に殺菌灯をつけていますか?
殺菌灯ってけっこう高い機材なので、つけてない人も多いかもしれません。
この殺菌灯、「つけても全く効果を感じられない」とか「結局つけてても病気になった」とかの意見もあって不要論も聞きます…。
ただ筆者はやはりあった方がいいと思いますね!あるのとないのとではかなり差があるとおもいます。
実際、頻繁に白点病が出ることがあるお客様に殺菌灯をお試し導入してみたら発生しなくなったことがあります。
こういった目に見える効果が出るとお客様も「つけといた方がいいね~」と殺菌灯を採用してもらったことがあります!
逆に始めから殺菌灯をつけていると「これ効果あるの?」と疑問に感じるお客様も…。
それで殺菌灯の球交換を止めたお客様がいたんですが、今まで白点病なんて出なかったのに殺菌灯の効果が切れた途端に白点病が発生してしまった、という事例もありました…
失って初めてその重要性に気付くこともある、殺菌灯はそれを体感しやすいアイテムかと思いますね。
殺菌灯選びは適合サイズに注意!

「殺菌灯をつけても病気になるから意味ないよ」
確かに殺菌灯をつければ絶対病気にならない!なんてことは無いですが、それでも殺菌灯は意味が無い、なんてことは無いはず。
そんな声に対して一つ疑問なのは「それ、殺菌灯のサイズ合ってますか?」というところ。
殺菌灯にはちゃんと水量を目安にした適合サイズがあるんです!正しい選び方で正しく運用しましょう!
なお、適合サイズがあると言ったものの、筆者としては余裕をもった『適合サイズの1つ上のサイズ』を使うのをオススメしますね!
淡水魚水槽は適合サイズで十分って感じがしますが、海水魚水槽では小さい殺菌灯は全然効いてる感じがしないこともあるんですよね、、
ちゃんとした検証はしてないものの、大きい殺菌灯であれば病気の発生率は体感かなり下がっていますし、透明度もアップするのを実感できますね。
魚病薬を使いやすくする工夫

魚の病気の薬、何種類か販売されてるんですけど、これの分量ってのがけっこう難しいんですよね…
どう難しいかと言うと、分量が細かすぎるもので計量がけっこう難しいんです…。
例えば日本動物薬品(株)から販売されている”グリーンFゴールド顆粒”、いろんな病気に使えてけっこう万能なので重宝してる薬なんですが…
コレは『1gに対して32~40L』という分量。この時点で単位がけっこう小さいですし、水量も32~40Lとまあまあムラがあります。。
そしてこの薬、2g包の粉薬なんです。となると1gを正確に計量するのが難しいんですよね…
(大きい箱は5g包だったりします)
なので2g全部を64~80Lに溶かして使えばいいんですが、これでさらに水量にムラがでるのと、薬浴用の水を80Lも用意するのは多すぎると思うんですよね…(業者的にはそのぐらいのトリートメントタンクは普通なんですけども…)
そこでちょっとしたいい方法が。それはあらかじめ定量の水に溶かして『液体魚病薬』を作ってやることです!
例えば1Lペットボトルを用意し、これに10g分のグリーンFゴールド顆粒を溶かすと400L分の”グリーンF溶液”が出来上がります。
薬浴用に20Lバケツを使うのであれば
1L×(20L/400L)=0.05L→50mLのグリーンF溶液を20Lのバケツに入れれば完成です!
どうでしょう?粉の状態から計算して0.1g単位で計量して作るよりかはラクだと思いますよ!
薬を使う時の注意事項

初心者の方がやっちゃう事例でよくあるのは『水槽に直接薬を投入する』という行為。。。
ダメでは無いと言えばそうなんですが、これは絶対オススメできません!
薬の成分は残留しやすい
薬はライブロックや砂の中に成分が残りやすいです。一度成分が残留してしまうと、完全に取り除くのは諦めた方がいいです…
「でも薬の成分が残るんなら病気の抑制になるのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、そんな都合よくはいかないものです。
そして最大の難点、それが『薬に弱い生体が飼育できなくなる』という点です。
これの代表例はエビやイソギンチャク。これらは薬に弱い種類が多く、直接薬を投入してしまった水槽ではもう飼育はかなり厳しくなってしまいます…
どちらも海水魚水槽では一緒に入れたい人気の生体なので、こういった事態はやはり避けたいものです。
薬はトリートメントタンクで隔離して使おう
こういった事態を防ぐためにも、薬を利用する時は薬浴専用の水槽を用意して行うのを推奨しています!
その方が病状の観察もしやすく、弱ったところを他の魚に攻撃されることもありません。
さらに水換えなどのメンテナンスもしやすくなりますので、薬浴の時は面倒でも専用の水槽を使ってください!
海水魚水槽でオススメの魚病薬は?
魚病薬は何種類も販売されていますが、「どれを使えばいいの?」とわからない人も多いんじゃないでしょうか?
そこで筆者が信頼を置いてる2種の薬をご紹介!
①グリーンFゴールド顆粒/日本動物薬品㈱

淡水魚でも海水魚でも、この薬は定番です!
対応する病気の種類が多く、使用用途も様々。
トリートメントの時に粘膜保護の効果も期待できるそうですし、傷口から出血している魚には練薬のようにして塗り付けるという方法もあります。
なかには粒餌に練り合わせて食べさせるという使い方もあるとか。用途も対応範囲も広い、安心の常備薬です!
ちなみに、グリーンFゴールドのシリーズは他にも”リキッド”などの種類がありますが、”顆粒”がいいですよ!他のタイプだと成分が違って効かないことがあるみたいです。
②エルバージュエース/日本動物薬品㈱

こちらもグリーンFゴールド顆粒と似たような効能・使い方ができる薬ですが、より強力な薬です。
そのため症状が重そうなときはこっちを使います。…が、強力なので病気で弱っていると薬が死因になってしまうことも…という使いどころが難しいという弱点もあります、、、
しかしそれだけ病気に効くということでもあります。
筆者は薬浴ではこの2種類を使ってます!薬選びの参考にしてみてください。
病気の対処は”根本治療”を目指そう
ここまで魚の病気の対処法として薬を案内してきましたが、実のところ筆者はそんなに薬を多用してないです。
というのも、筆者の考えとして薬は病気の”対処療法”であって、『根本治療』ではないと思っているからです。
薬の使用を批判しているわけではないんです、実際病気になった魚を救うには薬の使用は必要ですから。
しかし病気を薬で治して終わり、では病気が発生する原因を解決したとは言えません。何度でも再発する可能性があるんです。
そのため病気が発生した時にホントにやらないといけないことは、発生原因を根絶する『根本治療』だと考えています!
そのためには何をすればいいか?それは水槽環境やシステムの見直しだと思います。
何処が原因で病気が発生しているのか?
・濾過能力が不足しているのか?
・水流が不足して淀みに病原菌の温床ができているのか?
・過密飼育でストレス環境になっていないか?
こういったところを見直して原因と思うところを改善して病気が発生しない状態を目指しましょう!
メンテナンス業者の魚病薬事情…
業者こそ魚病薬にも詳しそう!と思うかもしれませんが、業者としては薬を使うタイミングがあまりないという事情があるんです。
①メンテナンス先の水槽に薬を使うことが無いから
薬は専用のトリートメントタンクを用意してやるのが基本。本水槽に直接薬を入れることはしたくないので、メンテナンスに行ったときに薬を使う場面があまりないからです。
②薬浴は継続してやらないと効果が期待できない
とはいえメンテナンスに伺ったら魚に白点病がびっしり…という場面もあります。その時は何もしないわけにもいかないので薬浴を行うことはあります。
ただ、薬浴って何日も継続してやらないとあまり効果を実感できないんですよね…
なので現地薬浴用に薬は常備してるんですが、頻繁に使うことは無いんです。
③薬は根本治療にならない
薬は対処療法に過ぎず、根本原因を解決しない限り何度でも病気は再発します。
特に月1~2回くらいしかお客様の水槽を見る機会が無いメンテナンス業者としては根本原因を改善することが重要です。
だから薬に頼るよりは水槽全体の環境改善に力を入れることがメンテナンス業者の務めだと思っています。
そんな理由から、筆者はあまり魚病薬を使っていないんですね。

今回は魚のケアと薬の使い方についての内容をお話しました。
魚を迎え入れる時のケアは病気予防に重要です。薬の使い方も参考になれば幸いです!
