多くの病原体が該当~細菌病と真菌病

海水魚の病気、その原因の病原体の多くは細菌に由来するものなんです。
細菌による病気、およびそれに類する真菌による病気についてもう少し詳しく踏み込んでみましょう。
病気の改善のヒントが見つかるかもしれません!
細菌病と真菌病、違いは?
細菌病については文字通り細菌によって引き起こされる病気。では真菌病は?それはもちろん、真菌類によって引き起こされる病気です。…当たり前ですが。あと真菌病には卵菌類によるものもこの分類とされてます。
では細菌と真菌は何が違うのか?これは【細菌=原核生物】で、【真菌=真核生物】です。
原核生物はDNAが細胞内にそのままあるんですが、真核生物はDNAが膜につつまれて存在してます。人間はコチラの真核生物にあたります。
分類学上では”真菌病”という名称は正しくない?
分類学でかつて主流だった『生物5界説』では”真菌門”という分類があり、魚の病気を引き起こす真菌類がこれに属していたんですが、今はこの5界説ではない別の説(6界説とかいろいろあります)も知られるようになり、病原菌の真菌類が”真菌門”から外れてしまったものもあるんだそうです。一部が”卵菌”ってカテゴリーになっちゃったとか。
ただアクアリストはこんなところを正確に分類する必要はあまりないので、真菌の病気も卵菌の病気も”真菌病”ってカテゴリーで考えるようです。なんなら真菌病も”細菌病”ってカテゴリーで考えてもらって大丈夫ですが…いちおう今回の記事では詳しめに書いてます…
細菌病について
魚の病気は水を媒介しているので、一度発生すると同じ水を共有している生き物に広がりやすいという厄介さがありますが、細菌病においても同様。発生すると拡大も早いです。病気が表面化した時には全員感染した後という状況も珍しくありません。
そして感染した魚がさらに感染源となって他の魚に拡げてしまうこと、細菌病は致死性が高いものや長期間病状が続くものなど、多くの症例があります。
代表的な病気としては『ビブリオ病』『エロモナス症』があります。
また、細菌病の病原体は多くが20~30℃が適温で感染しやすい『中温菌』であることが多いようです。この温度を外せば病気を避けられるかもしれませんが、アクアリウムにおいてはこの温度以外と言うのはなかなか難しいですね…
養殖業界における細菌病との戦い
細菌病は国内で養殖業が始まった当初から認識され、長い間研究が進んできました。
養殖業において大量死を招く病気への対処は急務なので新たな病気が発生するたびに研究が盛んに進みました。
なお、細菌病に限らずですが、新たな病気の感染経路の多くは海外の種苗(親魚)の導入によるものだそうです。生き物は外来種の話題が挙がりますが、病原菌も外来種によって大きな被害がもたらされるんですね…
そんな研究体制が敷かれた養殖業界では病気に対して様々な対応がとられています。
①環境制御
ハウス養殖だったり、天然海水を使わない”無菌(っぽい)環境”作り
②耐病性育種
遺伝子解析や、病気に強い個体を選別して耐性が強い親魚を流通させる
③生体防御機能の強化
エサに生菌剤(≒善玉菌)を含める『プロバイオティクス』や、抗体の活性化を狙うビタミンCやグルカンを混ぜて魚自身の活性を高める
④水産用医薬品
研究によって細菌を殺す・活動を停止させるような薬の開発(化学療法)。アクアリウムの薬はこの研究によって生まれた薬剤をルーツにしているものも多いようです。その中でも合成抗菌剤などの薬品は『サルファ剤』という細菌の増殖を抑制し増殖を阻止する物質が使われています。
など、様々な手法が試されています。
この中でも③のエサに対する工夫。これはアクアリストにもヒントになるかもしれません。最近の人工餌には生菌を入れ込んだものやビタミン・アミノ酸を配合したものも多いです。
病気に悩まれてる方はエサを見直してみるのはいかがでしょうか?そこまで大きなコストをかけずに病気の悩みから解消されるかもしれません!
真菌病について
厳密には細菌病とは違うものの、特にその違いを意識する必要は無さそうです。細菌病と同様に感染しやすく、致死性高いものから長期間続くものまで様々です。
真菌類、特に卵菌類は卵を放出して増殖していきます。ここは細菌との大きな違いでしょう。放出された菌子には遊走子という泳ぎ回るための器官をもっているものもありますね。
これらの生体は”菌類”のキノコと似たような生活環を持っていると考えてもらうとイメージしやすいでしょうか。
