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水温管理に気をつけよう

#マリンアクアリウム#水槽メンテナンス業者#水槽飼育#海水水槽

こんにちは、いつも閲覧ありがとうございます!

愛媛で水槽メンテナンスサービスをしております、AQUASCAPEです。

今回は水槽の『温度管理』について、触れていこうと思います。

水温は何度がいい?

まず 水温は何度ぐらいにすればいいのかですが、

【23~25℃】

このぐらいを目指してください。

よく25℃くらいという声をお聞きします。

それでいいのですが、筆者的には23~24℃くらい。ちょっと低めでもいいと思っています。

多くの観賞魚は沖縄や赤道付近の海で採集されるので

海水表面は25℃よりも水温高いでしょうし

観賞魚は浅い水深(5~15mとか)くらいによくいたりするので

25℃とか言われます。

ただ、夏の海でも2~3mくらい潜ると一気に水温下がります。

浅い水深にいるといっても普段3mより深いところにいるので

25℃は上限の水温と考えた方がいいと思ってます!

経験上も25℃より少し低い方が調子が良かったです。

水温管理に必要な機材は?

そして本題が その水温を維持する方法です。

これは『ヒーター』と『水槽用クーラー』を使って管理していきます。

しかしながら…

先に言ってしまうと【水槽用クーラーだけでは真夏は乗り切れない】と断言しておきます…

日本の夏は暑くなりすぎたんです…泣

ということで先に水槽用クーラーから解説します。

≪水槽を冷やすには≫

まず水槽を冷やす手段が主に3つありまして

  1. 冷却ファン
  2. ペルチェ式クーラー
  3. チラー(コンプレッサー)式クーラー

この3つにだいたい分かれます。

①冷却ファン

これはいたって簡単。

水槽の水面に風を当てる。それだけです。

これは【気化熱】を利用して水温を下げてまして

風を当てることで水が蒸発する

蒸発の時に熱を奪っていく

こんな仕組みです。汗で体温下げるのと同じ原理ですね。

となると弱点になるのは【水の蒸発が早くなる】ことです…

海水において蒸発すると水分は無くなっていきますが

塩分は無くなりません。

すると海水の塩分濃度が上がっていきます。

なので減った分は『真水』を足してください。『海水』じゃなくて『真水』ですよ!!

そして冷却ファンのもう一つの弱点は【冷却能力が低い】ことです。

気化熱で温度を下げるには限界があるので

夏の水温上昇に冷却が追いつかない可能性は高いです…

そして②と③が いわゆる水槽用クーラーです。

コチラの解説の前に まずクーラーには『ペルチェ式』と『チラー(コンプレッサー)式』の2つがあることを頭に入れていただければ…

そのうえでそれぞれ解説していきます!!

②ペルチェ式クーラー

まず「ペルチェ式ってなんだ?」ってとこから。

これは『電子冷熱』って言われますが

『ペルチェ素子』ってヤツを使って冷却してるんです。

これが何かを説明すると長くなっちゃうので、ざっくり仕組みを言うと

【電気を流すと冷たくなる素材】って認識でOKです!

これ聞くと「まぁ画期的!!」と思いますよね~

ただ、どうやらこのペルチェ素子の寿命が問題なのか

ペルチェ式クーラーの弱点が【寿命の短さ】なんですよね。。

だいたい【1~2年で寿命】と思ってください。。。

昔メーカーさんとも話しましたが、だいたいそのぐらいが寿命です。

3年もてば大したもんだ、って感じです。

そして 小型水槽用のクーラーって、だいたいペルチェ式なんですよ。

んで、最後にオススメ商品は紹介するんですが、それも両方ペルチェ式です。

そしてお値段ですが、だいたい3万円前後はするかな…

2年頑張ってくれて3万円前後です。

人によりますが、コスパはいかがなものか…?って感じですね。。。

③チラー式(コンプレッサー式)

こちらは多くのお部屋エアコンで採用されてる方式です。

簡単に言うと【空気を圧縮したり膨張させたりして温度を下げる】ってやり方。

空気は圧縮すると温度が上がり、膨張させると温度が下がるんです。

そして『室外機』で暑い空気を外に出して冷たい空気を部屋に戻してます。

さて、この方式を採用してる水槽用クーラーも存在してます。

そしてほとんどがペルチェ式よりハイパワーですし、寿命も長めです。

その分お値段もお高くはなりますが…当然っちゃ当然ですね~

大型のものになるとお部屋のエアコンよりも高いものもあったり…汗

お部屋全体を冷やすわけでもなく、水槽の水だけ冷やしてるのに、、

エアコンよりも高い……

でもそんなもんなんです…。

これがアクアリストを挫折させる大きな要因だと思っております、、、

さて、ちょっと愚痴っぽくなってしまいましたが

一つ重要なことをお話しします。

「水槽用クーラーを付けたら夏場も安心!!」 と思ったら大間違いでして、

多くの場合【水槽用クーラーだけでは真夏は乗り切れない】という残酷な現実です…。

必要なのは

【水槽用クーラー+お部屋のエアコン】でないと水温を維持するのはほぼ不可能でしょう。

「なぜ水槽用クーラーだけでは温度を下げられないのか?」

その理由を説明すると

『コンプレッサー式のクーラーは本体と室外機が一緒になっている形状』ってのが要因です。

…はい、もう少し詳しく言いますので、、

普通のエアコンは家の外に室外機が付いてますよね?

でも水槽用クーラーは室外機が外についてません。

どうなってるかと言うと、『本体正面から吸った空気を後ろから出してます』

つまり暖かい空気はそのままお部屋の中に排出されてるんですね。

ということは、締め切ったお部屋の中は温度が下がらず

結果的に水温も下がらなくなってしまうのです…

そういうわけなんで、水槽用クーラーだけでなくお部屋のクーラーもないとダメなんです。

私の経験から推測すると

水温+5℃までなら水槽用クーラーだけでもなんとかなるイメージですね。。

水温25℃設定なら気温が30度までならどうにかなる、ってイメージ。

35℃が普通になった日本の夏ではとても厳しいところですね~…

※ちなみに…水槽用クーラーでも大型のものは室外機が付いてます。
ホントに家の外に室外機が付いてるものです!
家の壁に穴をあけられる人はこれを使えばこの問題ともオサラバできます…笑

水槽用クーラーは買うべきか?

さて、これがクーラーの解説でした。

ここまで読んでいただくと

結局、水槽用クーラーは買うべきなのか??

と感じると思います。

もちろん買えるなら買うことがオススメです。

でも初心者がスタートするために水槽用クーラーを買うのは

あまりにも高額だと思ってます…

それならば、夏場は24時間エアコンで過ごす方がいいのではないかと

私は思っております。

電気代問題が気になると思いますが、ここだけは妥協していただいた方がいいかと。。

生き物の命が守られますし、24時間エアコンなら外から帰ってきたら既にお部屋が涼しいので快適ではありますよ…笑

≪ヒーターについて≫

こちらはクーラーと比べてすごく短く解説終わらせます笑

ポイントはコチラ

  1. 適合サイズを買う
  2. 絶対に水中から出てこないように注意
  3. “消耗品”と考えて定期的な交換を

主にこの3点で!!このぐらいしか解説することない気がするんですよね…

①適合サイズ

ですが、ヒーターのパッケージにだいたい書いてますので

素直にそれに従いましょう!

適合サイズより1段階上のヤツを買うぐらいは大丈夫、むしろベストかもしれません。

②水中から出ないように

ヒーターの露出絶対に注意してください!!!

これは水漏れ以上に大事故に繋がります!

水槽用ヒーターって、消費電力高くて小型水槽用でも120wとか

90cm水槽とかのサイズになると500wとかいきます。

もう電子レンジかよ!?ってくらいになります。

水中でそのぐらい熱量出すものが空気中に出たら…ホントに煙が出て発火します汗

だいたい吸盤がついてるので、水槽内でしっかり固定しましょう!!

③定期的な買い替えを

ヒーターってメーカー公表寿命がほとんど1年です。

なのでできれば1年ごとに買い替えを勧めます。

そうでなくても、常に予備を1本用意しとくのを超お勧めします。

という感じでヒーターの解説はこのぐらいですね。

≪温度設定って何度がいいの?≫

ここも大事なところですね。だいたいこんな感じに設定してもらえばいいんですが、

例えば24℃にするなら

ヒーター=23℃ / クーラー=24℃

って感じ。ヒーターとクーラーの数値を1℃ずらしてください。 ※2℃でもいいですよ!

ヒーターが23℃設定の場合→23℃を下回ったらヒーターが作動

クーラーが24℃設定の場合→24℃を上回ったらクーラーが作動

だいたいこうなります。

この設定なら水温が23~24℃で維持されるわけです。

もしヒーターもクーラーも同じ温度にした場合、

どっちもON/OFFを頻繁に繰り返してしまい、あまり効果を発揮できません。


また、ここは特に注意して欲しいのですが

↑の設定の温度を逆にしてしまった場合…(ヒーター=24℃ / クーラー=23℃)

ヒーターは24℃にしようと温め続けるが、クーラーは23℃にしようと冷やし続ける…

お互いがずーーっと稼働し続けてしまいます…

そうすると稼働時間が長すぎてすぐに壊れてしまうのでご注意を。。


なお、「クーラーは付けずにエアコンで管理するよ~」って方はご注意してほしいのが

『エアコンを24℃にしても水温が24℃にはならない』と思ってください!

だいたい【エアコンの温度より±2℃くらい水温はブレる】と思ってください。

空気と水では熱伝導率が違うからでしょうかね?だいたいそのぐらいズレます。

水温24℃にしたいならエアコンは22℃くらいにした方がいいでしょう。

【まとめ 侮るなかれ 水温管理】

  • 水温は23~25℃
  • 水槽用クーラーは高額なので、部屋のエアコンで管理もアリ
  • ハイパワーなクーラーはコンプレッサー式
  • ヒーターは水がけっこう蒸発しても絶対に露出しないように気をつける
  • ヒーターとクーラーの設定温度は1℃ほど離す

以上が水槽の温度管理の話でした。

けっこうお金のかかるお話になっちゃいましたね…

でも水温管理ってすっごく大事なんです。

メンテナンス会社勤務の経験から言わせてもらうと

水槽が壊滅する一番の原因って機材トラブルによる水温異常だと思います、ほぼ間違いないでしょう…

どんなに上手に管理してきた水槽でも

ある日突然魚が全滅することは何度もありました…

これはほとんどがヒーターやクーラーの故障でした。

「お前らがちゃんとメンテナンスしてないからだろ!?」ってお叱り受ける場面もたくさん見てきました…

これはホントの話なんですが、ヒーターもクーラーもある日突然壊れることはよくあります…

もちろん予兆が出てるときもあるんですよ?

ヒーターに石灰が沢山ついてるとか、ひび割れっぽいのが出てきてるとか、

クーラーが冷やす速度が遅くなったとか…

でもね、そんなもの全くなくても突然壊れることがあるんです、、ホントなんですよ。。

なのでヒーターの項目で予備をもっとくことをオススメしてました。

可能ならクーラーも代機を1個持っときたいくらいです。

あとリスク回避として『夏場はヒーターの電源はOFFにしとく』とかも一つの手です。

たまにセンサーがバグって永遠に温め続けちゃうことがあるので……

以上、温度管理の話でした。

最後に小型水槽用クーラーを2つ、紹介させていただきますね!

ヒーターは割愛させていただきます、そんなに特徴に変化が無いので…笑

≪ゼンスイ/KAKErU≫

ゼンスイKAKERU

ゼンスイ㈱さんが出してるペルチェ式クーラー。

お察しの通り“引っ掛ける“のでKAKErU=カケルです笑

横幅と高さ、引っ掛けられるガラス厚であれば

引っ掛けるだけで設置完了です!

設定水温から外れすぎると警報で知らせてくれる機能が付いてるので

ヒーターの動作異常があれば早く気付くことができます。

≪ゼンスイ/TEGARU Ⅱ≫

ゼンスイTEGARU

コチラもゼンスイ㈱さんから出ているペルチェ式クーラー。

水槽用クーラーといえばもうほとんどゼンスイさんです!

コチラはカケルとは違い、水を送るための水中ポンプが必要です。

前回解説したカミハタさんのRioシリーズとかがいいと思いますよ~

あと、カケルとの違いとしてこの商品は『冷やすだけでなく温めもできる』のがメリットです!

小型水槽では水槽内にヒーターがあるとけっこう目立つしスペースを圧迫するんですが

これならそのデメリットも解決できますよ。

以上、水温管理についてでした。

この記事の著者

AQUASCAPE

首都圏でアクアリウムの大手メンテナンス会社に勤めたのち独立。
アクアリウムの魅力を広げるため初心者向けのコンテンツからディープな話まで幅広く情報発信をしている。
個人宅の水槽からオフィス・クリニックの水槽まで、前職の経験に基づいたアドバイスを提供していきます。
1991年生まれ。

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