

システムLED②~なぜサンゴに波長が必要か?
前回の話の関連で。なぜサンゴにはシステムLEDが必要なのか?
サンゴの色によって必要な波長が違ってまして、そのためにシステムLEDの波長設定が重要になってくるわけです。ライトとサンゴの関係の本丸部分、波長と蛍光タンパクについての話です!
サンゴの蛍光タンパク質と励起光の関係
まずはこれ見てください!

こちらに今回の内容全部詰まってます!
※なお、こちらの内容を非常に詳しく解説されてるのが超高性能システムLED『SPECTRA』を監修した明林永二さんです。永二さんが執筆した【珊瑚色管理Coral Color Management】に全て網羅されてます。正直言って筆者のライトの知識は全てコチラから来てますので、「詳しく知りたい!」「気になった!」って方はぜひご購入してくださいませ…笑
サンゴの色は2つの”タンパク質”からできている
まず始めに、サンゴの色には『色素タンパク質』と『蛍光タンパク質』の2種類があります。このタンパク質は適切な光を当てることで維持できます。
サンゴは白い骨、炭酸カルシウムを主成分とした骨格の上に共肉がありまして、共肉には褐虫藻が共生しているので基本的に茶色に見えます。
そこに2種類のタンパク質を保有することで色がついてる、という感じです。
この先の話のメインは蛍光タンパクなんですが、先に色素タンパクをざっくり解説。
色素タンパクには白照明 Chromo-Protein(CP)
色素タンパクは白照明をしっかり当ててあげればほぼ大丈夫です!色素タンパクは赤(RCP)、青、緑、紫など様々ありますが、ほぼすべてが白照明で対応可能。なのでライトの設定には白照明の時間を作ることが推奨されます。
もっと踏み込んで言うと白照明というよりは600nm付近のアンバー光なんですが、白照明にしておけばだいたいカバーできます。
ちなみにアンバー光をピンポイントに当てるのはvitalwaveのアンバーモデルがありますね~
蛍光タンパクにはそれぞれ必要な波長が違う! Fluorescent-Protein(FP)
コチラが本題。色素タンパクと違って蛍光タンパクはそれぞれ必要な波長が変わります。



この図を参考にしてもらいましょう。蛍光タンパクは主に5種類を覚えてほしくて、
青蛍光(BFP) シアン蛍光(CFP) 緑蛍光(GFP) 黄蛍光(YFP) 赤蛍光(RFP)
この5つです。(他にもオレンジ蛍光など細かく言えば沢山あります)
ブルー蛍光タンパク(BFP)
これは紫外線、400nm付近の光が最適。
青蛍光のサンゴは珍しいうえに難しい…という印象。あまり青蛍光のサンゴ見たことある方は少ないのではないでしょうか?
シアン蛍光タンパク(CFP)
紫光、420nmあたりの光が最適。
この紫波長を含んだLEDもけっこう少ないのでシアン蛍光のサンゴもちょっと難しめ。そして一番難しいのは、このシアン蛍光ってのが人間の目にはグリーン蛍光に見えてしまいやすい…という罠。簡単に話すと人間は一番緑を認識しやすいので、シアンがグリーンに見えるってことなんですが。別記事で解説しようかとは思います…
グリーン蛍光(GFP)
これが一番よく見る蛍光タンパクじゃないでしょうか。450~500nmあたりの青照明が最適。
基本的な海水水槽用のライトにはこの青照明が入ってます。なのでグリーンのサンゴは飼育しやすいのが多いです!
本州の海の中にもグリーン蛍光を持ったサンゴは普通にいますね、日本の緯度ではたぶん他の蛍光タンパクは少ないと思ってますが…いろんなとこ潜って調査してみたいですね~


イエロー蛍光(YFP)
シアン光、500nmあたりの光が最適。
このシアン光を含んだライトはあるものの、強度が不十分なものが多い印象…これが十分な強度のライトは高価になる印象です。
レッド蛍光(RFP)
いわゆるグリーン光、550nmあたりの光が最適。
グリーン光も含んでるライトは少ないかな…何よりグリーン光ってホントにグリーンなんで、RFPのためにグリーン光を強めると水槽全体が緑一色になるんですよね…
比較的珍しいRFPのためにグリーン光モリモリのライトなんて作っても売れないので、メーカーもそんなライトは作りにくいんでしょう…
でもそんなグリーン光もシステムLEDならカバーしてくれます!
蛍光タンパクと必要な光の関係
↑の関係、ちょっと覚えるのが難しいかもしれません…そんな方はちょっとこちらを見てください。


光の波長の図です。”藍”は除いて、”青”と”緑”の間に”シアン(水色)”があると思ってください。
| 光の色 | UV | 紫 | 青 | シアン | 緑 | 黄色 | 赤 |
| FPの色 | 青 | シアン | 緑 | 黄色 | 赤 |
そしてこの図。下段のFPに対して必要な光の色を上段に書いてます。なので青蛍光(BFP)にはUV光、緑蛍光(GFP)には青光…という感じ。
こう並べてみると気付くと思いますが、『FPが必要な光は2つズラした色』になります。ざっくりこのぐらいで考えれば覚えやすいですよ!
なぜUVやシアン光を取り入れないのか?
各蛍光タンパクごとに必要な波長を説明しましたが、「サンゴの育成に必要なら、なぜメーカーはUVやシアンを含めたライトを作らないのか?」と思われるかもしれません。これには事情がありまして、
①UV素子は高い
UV素子は製造コストが高いようで、UVを強化するとバカ高いライトになっちゃうらしいです…
ちなみに、UVは素子(≒電球)そのものが高いというより、その周りのカバーにあたる部分が高いらしいですよ!普通の素材だとUVで劣化してすぐ壊れるので、周りの部品が高額になるそうです。。
②シアン素子は強度が弱い…
そしてシアンの素子はパワーが弱いそうで…シアン光をふんだんに取り入れたライトを作ろうとすると基盤のほとんどをシアン素子にしないと強度が足りないらしいです。なのでとても薄暗いライトになってしまうとか…
なので水槽用照明として使えるものを作ろうとするとシアン素子の割合を減らさざるをえなくなり、シアン光は弱くなりがちらしいです…
なので各メーカーさんは非常に頭を悩ましながらライト開発に挑んでいるようです、責めないでおきましょう…笑
【まとめ】
- サンゴの色は『色素タンパク』と『蛍光タンパク』の2種類ある
- 色素タンパクは白照明
- 青蛍光はUV
- シアン蛍光は紫光
- 緑蛍光は青光
- 黄蛍光はシアン光
- 赤蛍光はグリーン光
サンゴの色を維持するには波長をいじれるシステムLEDがベスト!ってことです。
このあたりの話はまだまだ深掘り出来ておもしろい分野です!今後も取り上げていきますね~


