害虫駆除方法 | AQUASCAPE

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害虫駆除方法

#マリンアクアリウム#有害生物#水槽メンテナンス業者#水槽飼育#海水水槽

アイプタシアX

こんにちは、いつも閲覧いただきありがとうございます!

愛媛の水槽メンテナンス業者、AQUASCAPEです。

前回水槽内に発生する害虫(有害生物)たちを紹介しましたので、今回はそちらの駆除についての内容です。

カーリー駆除

カーリー

まずはコチラの対策。一つ目は生物兵器

いくつかカーリーを食べる生物は存在しますが、その中から2種紹介。

カゴカキダイ
カゴカキダイ。日本の沿岸でも普通に生息している。タイドプールで見つかることも。

『カゴカキダイ』はカーリーを積極的に食べてくれます!筆者が一番信頼しているのはこの子ですね。

こんな見た目ですが広い分類ではチョウチョウウオの仲間です→訂正、かつてはチョウチョウウオ科でしたが今はカゴカキダイ科カゴカキダイ属と独立した分類に分けられたようです。

圧倒的な駆逐精度ですぐにカーリーがいなくなってくれます。

難点は近海種なので遊泳力が強いのとすぐに大きくなるので小型水槽では不向きです。60cm水槽でもすぐに手狭になるし、それだけ大きくなると他の魚を追い回すことも。。

あとサンゴを突っついちゃうことがあるので、サンゴ水槽では使いにくいところ…。

ウミフクロウ
耳のように見える器官が特徴的。フクロウというよりはミミズクっぽいが…

カーリー対策もう1種は『ウミフクロウ』。コチラはウミウシの仲間なのでカゴカキダイと違い小型水槽でも活躍しやすいです!岩の隙間にだって入っていけます。

入荷が少ないのと、知らぬ間にすぐ亡くなってたりするのは難点ではありますが…

カーリーを積極的に捕食する姿は確認してまして、けっこう効果あると思います!

夜行性なので日中は砂に潜ってたりしますが、こういった系統の生き物が苦手な方にはむしろ好都合かも…?

ということで生物兵器ではコチラの2種を紹介。他にもフチドリカワハギもちゃんとカーリーを食べることは見たことあるんですが、個体差がけっこうありまして…

あともう一つの対策は薬になります。それがコチラ↓

アイプタシアX
カーリー駆除剤『アイプタシアX』(RedSea)

RedSeaさんから発売されてるアイプタシアX

カーリーをピンセットなどで駆除しようとすると危険を感じて胞子を放出して更に拡大させてしまうリスクがあるのですが、この製品は練薬のような薬剤を注射器で吹きかけ、カーリーの口塞ぐことで胞子の拡大を防いで駆除します。

あとサンゴへの害が非常に少ないのが良いところです!直接サンゴにかけちゃうようなことが無ければ大丈夫です。

使う時ですが、一個体にけっこうタップリ使ってもらったほうがいいです。

少量で口をふさぐ程度だとすぐに復活してきます。。口だけじゃなく体全体を覆いつくすくらいにやってもらった方が効果が出ます!

あと大きくなった個体は生命力が強いのか、この薬が全然効かないことが多いです…

そうなったらカゴカキダイに頼るか、ライブロックごと取り出してターボライターとかで焼いてやると倒せます。焼くときにライブロックへの被害を最小限にするよう気をつけてください。

ウミケムシ駆除

ウミケムシ
超厄介なウミケムシ…

ウミケムシは食べてくれるような生物兵器は少ないです…。大きくなったナンヨウハギやベラ、フグとかが食べてくれるときもあるんですけど、たまーにしか食べないって感じでして。

いちおうよく食べてくれるって種類を紹介するとコチラ↓

アロークラブ
変わった形状のカニ『アロークラブ』。オルトマンワラエビみたい

こちらはよくウミケムシ駆除で紹介されてますね。

ただ筆者はあまり実感が無かったです…ウミケムシ対策の生物兵器はいないと思ってるくらい。

侵入経路を塞ごうにもなぜか知らぬ間に水槽に入り込んでるもんで、ウミケムシがいない水槽は100%無いとすら思ってます…

そんな存在なので増殖しないように管理するのも対策の一つと思います。

それが『エサ残りを無くすこと』

よくウミケムシが大繫殖する水槽はエサのあげ過ぎだったり、食べ残しのクリル(乾燥エビ)が落ちてたりします。

その残りエサをご馳走にしてるのがウミウシです。分解者でもある彼らの仕事ではありますが…

なのでエサのあげ過ぎには注意しましょう。

それと、いちおうちゃんとした駆除方法も紹介はします。

ただ、けっこうリスクあるので自己責任でお願いします…それがコチラの薬品↓

オキシドール

薬局の消毒液コーナーとかに普通に売ってる『オキシドール』です。

ウミケムシはライブロックの微小な隙間にだって隠れられるので物理的な駆除は無理です。

なのでライブロックをオキシドール浴して追い出します。

駆除用にバケツに海水を用意し、オキシドールを2~5%の濃度を目安に投入。筆者の体感5%までなら問題が起きにくいです。それ以上になるとライブロックが即死する気がします。(5%でも成功率6~7割くらいの印象)リスクはあるので薄めの方がいいかな、それでもけっこう効果あるので。

オキシドール入海水のバケツにライブロックを入れるとウミケムシがワラワラと出てきます(だいぶキモイです…)

長くて5分くらいで取り出しましょう、その時死んで浮いてるウミケムシに刺されないように、死んでても刺さるので。

そしてオキシドール混ぜてない普通の海水でしっかりすすいで水槽に戻します。

濃度が高かったり漬け込み時間が長くて失敗したらライブロックが死んで白くなってしまいます…ご注意を。(人工ライブロックはそんなことにはならないです)

失敗しなくてもバクテリアはかなり減ってしまうので、そのリスクを理解したうえでやってみてください。

いちおうオキシドールは低濃度であればサンゴも大丈夫で、寄生虫除去の薬浴に使われたりします。

なのでサンゴが付いた岩ごとドボンしてもウミケムシを駆除できるかもしれません…が筆者は恐くてやったことないので、重ねて言いますが自己責任で…汗

ちなみに、メンテナンスの時にレイアウト物を動かしたらウミケムシが出てくることがありますが、すぐに隠れようと岩陰を求めて逃げ出します。その時に死んだシッタカの貝殻などがあったらウミケムシの近くに落としてみましょう。これ幸いと貝殻の中に隠れてくれるので、あとは貝殻ごとゴミ箱行きにすれば比較的安全に駆除できます!

キモガニ駆除

キモガニ

コチラはオキシドールや薬浴もわりと耐えたりするので、物理的に除去するのが一番かと思います。

面倒ですがサンゴを取り出してピンセットで直接カニを捕まえましょう。

ライブロックのキュアリングのようにエアレーションで追い出すこともできるかもしれませんが、サンゴにもけっこう負担がかかります…

シャコ駆除

シャコ

コチラもキモガニ同様、物理的な駆除になります…が、

キモガニは基本サンゴに付いてるから駆除しやすいのですが、シャコは岩の隙間にいるのでピンセットも入りません…

パチパチ音からシャコがいる岩を特定してそれを取り出して別の水槽で隔離、切身などエサでおびき出して捕まえるくらいしか効率的な駆除は無いですね…

ライブロックを空気中に放置してたら運よく早めに出てきてくれることもありますが…ライブロックがダメになるかシャコがダメになるかの我慢比べですね…

もしかするとテラリウム流木のダニ駆除で使う『袋に入れてCO₂ガス充満させて酸欠にして除去』が効くかもしれませんが、それでシャコが酸欠になるか不明なのとライブロックへの影響がどうなるかわからないので筆者はやったことないです…参考にならずごめんなさい、、

ヒラムシ駆除

ヒラムシ

ヒラムシは生物兵器と薬の2つの手段を紹介。まずは生物兵器↓

マンダリン
ネズッポ系の魚『マンダリンフィッシュ』

画像はマリンアクアリウムでも人気が高い『マンダリン』和名は『ニシキテグリ』。

マンダリンの仲間たち『ネズッポ科』の魚がヒラムシを食べると言われてます。他にスターリードラゴネットやコウワンテグリがいますね。

この種はサンゴに危害を加えないので安心して入れられます。餌付けが難しいで代表的な種なので購入する際に餌付け済の個体を選べば長期飼育も可能です。

あと他にもニセモチノウオとか、ブルーラインスラッグも挙げられますね。ブルーラインスラッグは入荷が少ないですがヒラムシ専食と思われますので、かなり効果が出やすいと思います。

そしてもう一つの駆除手段はコチラ↓

フラットワームRX
ヒラムシ駆除『フラットワームRX』(BLUE LIFE/LSS研究所)

コチラはかなり効果アリ!

ヒラムシが付いたサンゴを別容器に移して薬浴しましょう。水槽に戻す時にしっかりゆすぐよう注意しましょう。

他にも製品が出てるのでいろいろ試して自分に合う薬を見つけるといいでしょう~

シアノバクテリア駆除

シアノバクテリア

コチラは環境改善が一番の近道です。

まずは発生しているシアノバクテリアは吸出しましょう。

そしてライトの時間を短くしたり光量を落としたりして明るすぎる環境を見直し。

あとはレイアウト変更や水流ポンプの設定・配置を見直して循環を改善しましょう。

シアノが出ている場所は水が動いてない証拠です、そのあたりに水通りができやすいように工夫しましょう。

それとシアノも食べてくれると言われている生物兵器も一つ紹介、

タツナミガイ
名前の通り貝の仲間。退化した貝殻が体内にあります。

この『タツナミガイ』はシアノだけでなく様々なコケ・藻類を駆逐してくれる仕事人です。

ただシアノばっか食べさせてると、毒素を溜め込んでしまうのかあるとき突然死ぬことが多いですね…

そしてこのタツナミガイ、死んでるのに気づいたらすぐに水槽から取り出してください、めちゃくちゃ水を汚しますので…

あと大食漢みたいで食うものが無くなっても死にます。藻類が駆逐されたら役目終了ってことでショップに引き取ってもらうといいでしょう。

これに似てる『アメフラシ』っていますが、ツンツンすると危険を感じて紫色の液体を放出する種類がいます。(毒々しい紫色だが毒はない)タツナミガイも同じことするので、あまり触りすぎたりにぎにぎしてると水槽を紫色に染め上げてしまうんで注意してください…

シオグサ駆除

シオグサ

コチラもシアノ同様、まずは環境改善を。

そして数が少なければ物理的に除去した方が早いと思います。普通につまんで引きちぎればだいたい根元から取れてくれます。

あとは生物兵器。その場合はまず物理的除去で数を減らしてからにしましょう。タツナミガイも食べてはくれるみたいです。それともう一つ、

サザナミハギ
サザナミハギの仲間。ニザダイ科サザナミハギ属

ハギの仲間がけっこう食べてくれます。

筆者的にはサザナミハギの仲間、『ニザダイ科サザナミハギ属』がオススメです。

効果だけどアトランティックブルータンなんて素敵ですね~。ナンヨウハギはあんま食べてくれないかな…笑

マリンアクアでハギと言えばコチラの仲間がよく思い浮かびますが↓

ゴマハギ
ゴマハギ。サザナミハギと同じニザダイ科だがヒレナガハギ属

こちらのタイプもよく藻類を食べてくれるんですが、この『ヒレナガハギ属』よりシオグサはサザナミハギ属の方が食べてくれるイメージです。

ただ、タツナミガイも含め生物兵器はけっこう個体差が出ますので、まったく見向きもしない子もいますのでご容赦ください…

トロロ藻駆除

トロロ藻
トロロ藻こと『ツユノイト科』の藻類

こちらもシアノ、シオグサ同様 まずは環境改善を。

そして生物兵器なんですが、この藻はいろいろな生き物が言われてますが効果ある生体ってあんまいないんですよね…よっぽど不味いのでしょうか…

磯やタイドプールに生えてたりするので、磯の生物『ヤドカリ』などが効果的とは言われますが

ヤドカリはホントに100匹単位の大量投入でやっと効果が出始めるとかそういうレベル。。

これを効果的に駆除するならオキシドールが早いです。。

オキシドール
トロロ藻にも効果的なオキシドール。アクアでは重宝する薬。

オキシドール浴すると細胞壁が剥がれやすくなるのかブラッシングで面白いくらいにキレイに取れます!

ただ↑のウミケムシの項目で言ったようにバクテリアの面でかなりリスクがあるので、自己責任でどうぞ…

補足:シアノや藻類はバクテリアや生物相の見直しの合図

シアノやトロロ藻などのトラブルが発生するのは、光や水流だけでなくバクテリアや微生物などの生物相が偏っているなどの原因が考えられます

こういった藻類の胞子や植物性プランクトンを食べる動物性プランクトンの不足やシアノ・藻類と生活環境を取り合い争っている微生物・バクテリアが不足すると藻類の勢力が優勢になって一気に繁殖してしまいます。

これらを自然の警告と考え、バクテリア環境も考えた水槽を創ってみましょう~~

【まとめ】

  • カーリー:生物兵器(カゴカキダイ、ウミフクロウetc)・アイプタシアX
  • ウミケムシ:生物兵器(アロークラブ) ※オキシドール
  • カニ・シャコ:物理駆除
  • ヒラムシ:生物兵器(マンダリン)、フラットワームRX etc
  • シアノバクテリア:光と水流の見直し、タツナミガイ
  • シオグサ:光と水流の見直し、生物兵器(サザナミハギetc)
  • トロロ藻:光と水流の見直し ※オキシドール

以上、害虫・有害生物の駆除方法でした!

この記事の著者

AQUASCAPE

首都圏でアクアリウムの大手メンテナンス会社に勤めたのち独立。
アクアリウムの魅力を広げるため初心者向けのコンテンツからディープな話まで幅広く情報発信をしている。
個人宅の水槽からオフィス・クリニックの水槽まで、前職の経験に基づいたアドバイスを提供していきます。
1991年生まれ。

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