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便利な添加剤~NO₃PO₄X

#マリンアクアリウム#水槽メンテナンス業者#海水水槽#飼育難易度

NO₃PO₄X

こんにちは、いつも閲覧ありがとうございます!

愛媛で水槽メンテナンス業者をしています、AQUASCAPEです。

以前の記事で少し触れたことがある、RedSeaさんから発売されている製品『NO₃PO₄X』についてお話ししようと思います。

マリンアクアリウムをされていると目にしたことや使ったことがあるだろうコチラの製品。

手軽に『栄養塩を減らせる』と聞いて買ってみた方もいるかと思いますが、実は使う時はちゃんと用法を守らないとトラブルになります。

そのあたりも含め、この製品がなぜ栄養塩を減らせるのかを解説していきましょう。

こんな経験ないですか?

栄養塩(硝酸塩やリン酸塩)を減らせると聞いて、早速購入して使ってみました!

使用方法も確認して入れる量も守って使ってみました!!

なんか水が白く濁って魚も何匹か息苦しそうにして死んじゃったんですが、何がいけなかったんでしょうか…?😢

こんな経験ないでしょうか?

実は過去にメンテナンス会社に勤めてた時期にお客様であった事例です。

結論言うと原因は『プロテインスキマーが備わってなかったから』です。

そのお客様はOF水槽ではなく、外部フィルターで海水魚水槽をされてたお客様でした。そのためプロテインスキマーは設置してませんでした。

製品の取扱説明書にはちゃんとプロテインスキマーのことも書いてあるんですが、投下量は見てもこういうところは見落としたりするんですよね…

ではなぜプロテインスキマーが無いとそんなことになってしまうのか?

そちらを説明するために、まずはコチラの製品の特長を説明していきましょう~~

NO₃PO₄Xとは?

コチラの製品の説明ですが

『硝酸塩およびリン酸塩を生物学的プロセスにより減少させる』とあります。

どうやって硝酸塩とリン酸塩を下げるのかってところですが、吸着剤とは別の作用を使ってまして

“生物学的プロセス”って部分を掘り下げていく必要があります。

そしてこのNO₃PO₄X(以降NPXと略させていただきますね)は、バクテリア剤ではありません。言うなればバクテリアのエサになります。

これはバクテリアにエサを与えることで、バクテリアの活動を活性化させて栄養塩を下げているんですね。

このバクテリアのエサを『炭素源』と呼んでます。

炭素源ってどんなものがあるの?

よく炭素源って言うけど、それってつまり何よ?

これは筆者も気になって昔調べたことがありまして。。

『炭素源とはメタノールや炭化水素、有機酸』と説明されてます。

もうちょっと身近でわかりやすい例を挙げると糖や酢がそれにあたります。

過去の記事で昔の「アクアリストが水槽に味醂や酢を入れて栄養塩を下げていた」と触れていましたが、その味醂や酢がこの炭素源になるんですね!

なのでこのNPXもそれを参考に作られたのか、お酢のような臭いがします。

バクテリアに炭素源を与えると何が起こる?

この炭素源は栄養塩を分解するバクテリアのエサになります。

栄養塩を分解するバクテリア→嫌気性バクテリアたちです。脱窒菌とも言われますね。

この嫌気性バクテリアは文字通り酸素が無い・酸素が少ない環境にいます。

そのバクテリアたちが炭素源を得るとすごく活発に活動するんですね!

そうして脱窒菌が栄養塩をどんどん分解(還元)していくことで栄養塩が減少していくんです。

なので水槽内に元々存在するバクテリアたちを覚醒させて仕事をさせる添加剤がこのNPXです。

なぜプロテインスキマーが必要なのか?

炭素源=NPXを入れるとバクテリア(脱窒菌)が活発に活動すると言いました。

その時バクテリアたちも酸素を山ほど消費するんですよね。

それで酸素が足りなくなるので、プロテインスキマーが必要になるんです。

それとNPXは活性化したバクテリアたちの増殖も促進します。

そして増えすぎたバクテリアたちを水中から取り出すこともプロテインスキマーの重要な役割です。

これらの理由からNPXを使うにはプロテインスキマーが必要になるんです。

冒頭の白濁りの原因は『酸欠によるもの』です。酸欠によって死んだバクテリアたちが要因で白濁りが発生し、魚たちも酸欠で命を落とす結果となったわけです…

【まとめ~仕組みを知れば憂いなし】

  • NPXは脱窒菌=嫌気性バクテリアを活性化させるエサ
  • 脱窒菌の活動で栄養塩を分解している
  • 使うにはプロテインスキマーが必要!その理由は
  • ①酸欠防止
  • ②増えすぎたバクテリアの回収

こんな感じ!

実際栄養塩を分解するバクテリアには種類が様々存在してるし、栄養塩を分解って言ってるけど細かく言うと還元作用がどうとか窒素ガスへの還元がどうとか…すごく複雑な仕組みになってます汗

とはいえそんな難しくて学術的なことまで知らなくても

↑のような理解でひとまずアクアを楽しむには十分と思います!!

(なるべく本編のブログでは専門的な解説より嚙み砕いたわかりやすい説明にしたいとは思ってます…)

この内容を知ってるだけでもプロテインスキマーが必要な理由とかはわかっていただけたと思いますので。

アクアリウムはハマっていくとイオンがどうとか化学の用語がけっこう出てきます…余裕があればそのあたりも理解していけば、自分なりの新しい対処法を思いつくかもしれませんね!

この記事の著者

AQUASCAPE

首都圏でアクアリウムの大手メンテナンス会社に勤めたのち独立。
アクアリウムの魅力を広げるため初心者向けのコンテンツからディープな話まで幅広く情報発信をしている。
個人宅の水槽からオフィス・クリニックの水槽まで、前職の経験に基づいたアドバイスを提供していきます。
1991年生まれ。

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