始まりは養殖業から?魚病薬のルーツ

海水魚の病気に使う薬、迷ってませんか?病気の判別から対処まで、けっこう難易度が高いんです。
薬は正しく使わないと効果を発揮しなかったり、こんな使い方はNG!って使い方をして取り返しがつかなくなることだってあります…
そんな魚病薬、どうやって開発されたのでしょうか。そのルーツを知り、病気への対処の知識のヒントを探りましょう。
アクアの魚病薬のルーツは養殖業らしい

これは聞いた話ですが、アクア用品の魚病薬は漁業の養殖業がルーツのモノが多いようです。そのキッカケで魚病学に関する専門書を読みましたが、確かによく聞く病名だったり薬の成分が出てくるんです。
それは海の魚に限らず淡水魚においても同じで、鯉や鮭・ウナギなどの養殖場で発生する病気に対して考えられた薬や対処法がアクアリウムの病気対処の方法として確立された面があるようです。
思えば日本でアクアリウムが流行るより前から漁業・養殖業は盛んになっているので、それもそのはずです。
そのためアクアリウム用の薬は養殖業で使われていた薬を水槽サイズに調整したものが多いそうです。
魚病薬の開発事情…
養殖をルーツするアクアの魚病薬ですが、それでも最近はアクアリウム用品のメーカー各社が水槽環境で発生する病原体と魚種の研究を進め、アクア界隈オリジナルの薬もどんどん出てきています。
しかしアクアリウム専用の薬は歴史の長さと比べると数が少ないです。なぜ開発が遅いのか?
これはアクアリウム人口の少なさが大きな要因とも言えるでしょう。開発費を注ぎ込むほど需要が無いのでしょうね…
養殖の世界でも多く食用される魚については病気の研究・薬の開発が進みます。しかしそこまで食用されない魚については研究がされることなく薬の開発が進まないのが現状のようです…当然と言えば当然の成り行きでしょうか…
例えばマダイの病気について研究していると他の魚(例:クロダイとか)でも近しい症例が発見される。これが同属だが同じ対処では治療できない病気だとすると、そっちの開発はなかなか進まない。他にも特定魚種でしか発生しない病気があって、その魚がそれほど商品価値が低い魚ならそれも開発はなかなか進まない…というのが現状のよう。
これがマリンアクア用の魚となると、なおのこと開発は進まないということだろう。
薬の開発は莫大な研究費用がかかる…
そして魚病薬の開発、これはとてつもない時間とお金がかかるようです…
まず養殖生簀・または養殖池に何百何千と飼育しているものの中から病気の個体を採取するが、”個体”というより”集団・群”として検体を調べないといけないところで既に大変になる。
陸上の”空気中”以上に”水中”という環境が他個体への感染伝播の可能性が高く、一個体をサンプルとするだけでは不十分ということで集団での検査となる。
そして魚体の血液や各器官の細胞など、多様な個所を検査。これらをPCR法などで病原体を割り出すが、一個体から寄生虫やらウイルスやら細菌やらが同時に検出されることはよくあるそう…それらの中からどれが原因なのかを割り出すのも一苦労。
加えて病気の発生には大きく3つの要因から発生原因を考えないといけないそうで、その3要素が『宿主(魚体)』『病原体』『環境』これら3つについての分析が必要。魚体から特定の病原体を検出したとしても、その生簀がある場所の海況によっても左右される…
さらに厄介なのが『病原体の耐性獲得』。薬を開発したが、その薬に耐えられる病原菌が出現することがある。ウイルス病だけでなく、ビブリオ菌など細菌病でも耐性をもつ種が発生するという。薬の開発中に耐性を付けた種が発生してしまうこともあるとか。
そうして様々な壁を乗り越えて開発した薬、これをどう投与するか?多いのはエサに混ぜる『経口投与』だが、これは個体ごとに薬の摂取量が揃えられない…なので注射投与が確実だが、それを何千匹に対して打ち込んでいくのか…?無理でしょ…って話。
そのあたりを解決するなら、アクアリウムでは主流の『薬浴』は投与量もほぼ均一・一匹ずつ投薬する必要も無い。ただ薬浴槽に移し替える作業が必要だが…
このように魚病薬の開発・実用化には幾重もの壁があるため、なかなか開発が進まないようです。
【まとめ】
- アクアリウムの薬のルーツは養殖業だそうだ
- 薬の開発には膨大な時間とお金がかかる
- アクアリウム人口が少ないので薬の開発はなかなか進まない事情がある(アクアリウムメーカー各社の努力で改善傾向にはある)
