試薬の精度の違いの話~大事なのは変化率
水質検査で使う試薬はメーカー各社販売しており、測定方法も様々。そして精度の違いもあります。
アクアリウムの水質は100万分の1の違いとか細かなものを測定するので、この精度のズレは致命的…
そんな中でどう水質検査と向き合っていくべきか、というお話。
試薬ごとの精度の違いについて
試薬はデジタル式が信頼性が高い

まずデジタルタイプの試薬の精度の高さ、これは間違いないと思います。何よりデジタルは数値で表記されるので、変化の差がわかりやすいです。
比色式は大まかな変化しかわからない


比色タイプは色の付き方で判断しますが、その差がかなり微妙な違いでどちらなのか判別がつきにくいのが弱点です…
画像のRedSeaさんのPO₄試薬プロキットは0.01ppmまで測れるので細かな測定に使うものですが、0.01と0.02の識別はかなり判別しにくいです。そして0.04の次は0.08まで飛ぶので、その間の数値を知ることはできず色の違いから推定するしかありません。
このRedSeaさんの比色式試薬で特に判別しにくいのがpHだと思ってまして…この変化がホントにわかりにくいです汗
そして比色のもう一つ弱点は、人によって色の見え方に違いがあること。色によっては見えにくい方もいます。さらに赤系の色は人によって生まれつき判別しにくい方もいらっしゃるので、比色の試薬はかなり数値にバラつきがあると言えます。
デジタルと比色で精度の違いを調べてみると…
過去にデジタルと比色の試薬で同じ水を測定して、その差を調べたことがあります。
使ったのは↑に画像を載せている【HANNAチェッカーHl774】と【RedSeaプロテストキット】でリン酸塩を測定。その結果は
HANNA→0.08ppm
RedSea→0.02ppm
このようになりました。筆者はRedSeaのプロテストキットを愛用しており、当時0.02ppmで維持をしているつもりでしたが、HANNAチェッカーを使ってみると0.08ppmという結果でした。
その差、なんと4倍。誤差というには許容範囲を明らかに超えた差です…
筆者的にデジタルのHANNAチェッカーの精度について疑いはありません。しかしこの結果を受けて「比色式の試薬は役に立たない!」と決めつけるのはちょっと待っていただきたいのです…
デジタル試薬の数値、ホントに正しく測れてますか?
「比色はダメ、デジタル一択!」という判断を待っていただきたいのはこれが理由。
精度の高さに疑いの余地はないのですが、測定方法が間違っていれば数値がズレるのは当然です。ましてや水質は100万分の1の割合の差を測定するもの。僅かな変化で数値は大きくズレます。
例えばHANNAチェッカーでは【瓶に残った水滴】【瓶についた埃・汚れ】【チェッカー内の汚れ】【測定に使用する水の量を正確に採取できているか】…これらだけでも測定に大きく差が出ます。
このチェッカーは光を利用して測定しているので、瓶に汚れがあれば光の透過に関わるので誤差が生じます。
比色の試薬、正しい環境で使ってますか?
RedSeaをはじめとした比色試薬についても、人によって色の見え方の違い以外にも注意すべき点が。
まず測定する部屋の照明。オレンジ色の電球色かLEDの昼白色かで見え方に差が出ますよね?比色試薬の多くは白い照明の下で測定を推奨されてます。
そして試薬、使用期限切れてませんか?薬剤の保管状態、湿ってませんか??
このような条件の違いでも正確に測定できない可能性があるんです。
そもそも試薬の数値は正しいのか?
正しく使えなければ信憑性に欠ける
まず↑に書いたように、デジタルだろうが比色だろうが正しい管理と使用方法のもと使わないと正しい数値とは言えません。
デジタルを盲信するのは危うい
正しく管理・使用したとしても、これが何年も経過したら…その製品、壊れてないよね?耐用年数は?って疑念が出てきます。
↑でデジタルと比色の比較をしましたが、「どっちか壊れてたんじゃない?」と疑ってもしょうがないぐらいのズレでした。
定期的な校正をしなければエラーに気付けない
デジタルも比色も校正をしていかないと誤差が生じてしまうものです。
ちなみにHANNAチェッカーはメーカーにて校正を受け付けてます。
比色についてはメーカー校正はおそらくやってないですが…
信用できる数値を知るならICPテスト
本当に正確な数値を知るならICPテストが間違いないでしょう。微量元素まで測定できますからね。
ICPテストは水槽の水を海外の専門機関に送ってチェックします。
聞いた話では送った水を各項目ごとに1滴ずつセットし、蒸発させたときに残留した成分の量で測定してると聞きましたが…
水質管理で大事なのは変化率だ!!
ここまでの話で、水質検査をしても数値のブレや信憑性についての疑念があることはわかっていただけたかと。「じゃあ水質検査しても何も信じられないじゃん…」と諦めないでください、大事なのは値じゃなくて【どれだけ変化したか】です!
数値に振り回されるな!
アクアリウムでよくある失敗ですが、数値に振り回されてあの手この手を加えた結果、調子を崩す…そんな事例があります。
ましてや検査が雑で数値がブレていたらなおさら…管理をしているつもりがメチャクチャにしてしまってることもあるんです…
「ならば水質検査なんてしない方が…」と思うかもしれませんが、それは違います。
水質の変化率を見よう!
測定結果を見るより大事なのは【変化率】です!
変化率を重視すればデジタルと比色の測定誤差に悩むことなく水質管理ができると考えてます。まず試薬の管理と毎回の使用方法はしっかり守っていただいて…そこは大前提ですが笑
測定期間を決めて定期的に検査する
試薬を使うなら測定する期間、タイミングを決めることをオススメします!
勿論毎日できればベストですが、これは1週間でも極論1か月でもかまいません。
1週間ならキッチリ1週間ごとに測定し、前回からどれだけ数値が変化したかを記録していくのです。
その変化を見て添加剤や吸着剤、エサの量などを調整していくのです。
※もちろん決めた期間の間でも気になる項目があったので測定した、というのは全然OK
「久しぶりに測定して結果リン酸塩がメチャクチャ増えていた!吸着剤を沢山入れたよ!」←これでは吸着剤をどのぐらい入れるべきか、正直言ってわかりません。なぜなら測定期間と増加率の関係がわからないからです。
これが仮に1か月前で前回から0.5ppmの増加だったとしても、測定期間が毎回バラついていたらこの増加率の信憑性には疑問が残ります。
変化率を知るためにも測定期間を固定することがポイントです。
これであればデジタルだろうが比色だろうが、そのブレに動じることなく水質管理ができると考えています。
デジタルより4倍誤差がでた比色ですが、比色式なら比色式で管理しても全然問題ないのです。
0.04~0.08の間の値を知れないと言っても、前回の色とほとんど変化ない結果を叩き出せているならその管理で問題ありません。
それを「0.01単位で変動を抑えて管理したいんだ‼」という方はデジタル式の試薬を選べばいいんです。
【まとめ】
- 水質検査で大事なのは”結果”ではなく”変化率”
- 数値に振り回されないこと
- 測定期間を決めて変動をコントロールしていく
こちらが筆者が大事にしている水質管理の方法です。試薬の精度の違いは重要ではなく、大事なのは変化を見てコントロールしていくことですね!

