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水質の理想値

#サンゴ飼育#マリンアクアリウム#水槽メンテナンス業者#水槽飼育#水質検査

こんにちは、いつも閲覧ありがとうございます!

愛媛の水槽メンテナンスサービス、AQUASCAPEです。

以前に『水槽の水質検査の項目』について書きましたが、

今回は『それぞれの項目の理想値はいくらか?』について書かせていただきます!

飼育する生体で理想値は変わる

まず、何を飼育しているかで目標値=理想値は変わってきます

大きく分けると以下の4つになると思います。

  • 魚水槽
  • ソフトコーラル
  • LPS
  • SPS

だいたいこの4つに大別できますね。

ただしこれは『4つのうちどれをメインに飼育しているか』という意味で

例えば「LPS水槽だから魚は飼っちゃダメ」ってことではないです!

たぶん4分類のうち1つしか飼育しないって水槽の方が少ないでしょう。。

『魚もソフトもいろいろ混ざってるけど一番メインにしているのはLPSだ』という方は

LPS飼育の理想値に向けて水質をコントールしていく、という感じです。

更に付け加えると、この4つを全部共存させて飼育する

『ミックスドリーフ Mixed Reef』の方もいるでしょう!その方が楽しいよね~

そんな方は『水槽内で一番水質に厳しい生体に理想値を設定する』のがいいでしょう!

なのでだいたいはSPS飼育の水質コントロールを意識してもらうといいです。

それではそれぞれ見ていきましょう~~

※アンモニアNH₃、亜硝酸NO₂はどの生体もNGなので省いてます。あえて言うならどちらも0.00ppmが目標値です!

※水温や塩分濃度についても省いてます。

魚の理想値は?

水質検査項目理想値
NO₃ 硝酸塩~100
PO₄ リン酸塩
pH 水素イオン濃度8.0~8.4
KH アルカリ度7.0~8.0
Mg マグネシウム
Ca カルシウム

理想値を書いてない項目は、特に意識しなくても大丈夫って感じです。

…正直言うと魚はだいぶ丈夫なんで、pH以外は意識しなくてもいいかな~~とは思ってます笑

KHは低いとpHの変動が激しくなるので、まぁこのぐらい。。

NO₃も200ppm突破しても全然平気だったりします。

ただ、NO₃やPO₄の栄養塩が高すぎると色が悪くなることが多いですね。。。

赤色やピンク色の魚は特に色落ちしやすい印象、バイカラードティーバックやクレナイニセスズメの鮮やかなピンク~ビビットパープルな色が褪せて薄紫色になってたりします。

やはりキレイに元気に育てたいなら良い環境、良い水質を用意してあげるのがベストですね。

ソフトコーラルの理想値は?

水質検査項目理想値
NO₃ 硝酸塩10~30
PO₄ リン酸塩~0.1
pH 水素イオン濃度8.0~8.4
KH アルカリ度7.0~8.0
Mg マグネシウム1200~1300
Ca カルシウム400~450

ソフトコーラルはサンゴの中では水質に厳しくないです。

といってもソフトコーラルってかなり種類多いし

種類によって特徴がだいぶ違うので一概に言いにくいですが…

ソフトコーラルはLPS、SPSと違って骨格を持たず、

柔らかい体をしてます。フニャフニャしてるのが多いです。

これは体内に骨が粉々になったような小さな骨『骨片』がたくさんあるので骨はあるけど柔らかいわけです。

なので骨を作る成分KH、Mg、Caを消費はするけど、LPSやSPSほどはシビアに見なくてもOKって感じです。

高栄養塩にも比較的強いので飼育しやすい入門種という印象が強いですね!
上限値を書いたものの硝酸塩は特に気にしなくてもいけるような感じだし、リン酸塩も1ppmくらいいっても大丈夫だったりはしますが…いちおう目標値ってことで汗

筆者の印象ですが、水質に意識とられがちですが塩分濃度は気をつけた方がいいようなイメージです

スターポリプがなかなか咲かない時があったんですが、塩分濃度を少し下げてやると(35→33‰くらい)咲くようになりました。

ちょっと低い方が反応してくれる印象、個体差だと思いますが…

スターポリプとハナブササンゴ
下がソフトコーラルのスターポリプ、上がLPSのハナブササンゴ

LPSの理想値は?

水質検査項目理想値
NO₃ 硝酸塩10~20
PO₄ リン酸塩0.04
pH 水素イオン濃度8.0~8.4
KH アルカリ度7.5~8.5
Mg マグネシウム1250~1350
Ca カルシウム420~450

ソフトコーラルよりはシビアなLPS。

注意したいのがPO₄。種類によっては~0.1ppmでも平気ですが、低めの方が無難です

NO₃はそんなに気をつけなくてもいいですが、だいたいこのぐらい。0に近づきすぎると色落ちします~

KH、Mg、Caはソフトコーラルとそんなに変わらないです。LPSはそんなにこの3つの消費が激しくないので、定期的な水換えや添加剤を使ってればそんなに意識しなくていいかな。

なので逆に注意したいのが添加剤入れ過ぎてKH、Mg、Caが過剰にならないようにご注意を

ゴールドトーチ
LPSの人気種『ハナサンゴ』 イソギンチャクのようなユラユラ漂う姿が美しい
オオバナサンゴ
オオバナサンゴ。LPSはギラギラの蛍光色が美しいのが魅力

SPSの理想値は?

水質検査項目理想値
NO₃ 硝酸塩2~5
PO₄ リン酸塩0.02~0.04
pH 水素イオン濃度8.0~8.4
KH アルカリ度7.5~8.5 / 9.0~10.0
Mg マグネシウム1300~1400
Ca カルシウム430~450

SPSが一番水質にシビアですね。難しいと言われる理由です。

一昔前、『パステル化』を目的とした超低栄養塩管理の時代はNO₃もPO₄もゼロを目指してましたが、近年は少し栄養塩を残してサンゴ本来の色合いを求めるのが主流ですね。

KHが2パターン記されてますが、ここについての補足を。

『色揚げ目的』→KH7.5~8.5

『成長目的』→9.0~10.0

という感じです。色を良くしたい場合はKHを普通ぐらいに抑えるといいです。KH高いと成長にチカラ使って色彩が置いてけぼりになりやすいです。

ガンガン成長させて大きくしたい!って場合は高めのKHで成長にチカラを使ってもらいましょう。

なお、なにやらサンゴには成長スイッチがあるようでして

このスイッチが入ってない、成長の準備が出来てないタイミング(全然枝ぶりが伸びてない)ではKHを高くするのはあまりオススメしないかな…

KHを高くすると弊害も出てきちゃうので…このあたりが難しいんですよね…

あとLPSと違ってKH、Mg、Caはガンガン消費されて下がっていくので

注意してこまめに測定しておいた方がいいですよ~

ミドリイシsp
海中のSPS。青照明を当てると緑色に反応する(撮影地・愛媛県宇和海海域公園)

【まとめというか、補足というか…】

以上、それぞれの目標値=理想値でした!

これまでに得た知識や経験から筆者なりの理想値を書かせていただきました。

ただこちらはホントに様々なご意見がありますので、

「これが絶対正解だ」と思わず参考としてご活用ください!

自分で調べてみていろんな情報から取捨選択してみてください。

ここ最近では海外のショップさんが「硝酸塩の数値はもう気にしなくていい、リン酸塩も0.1ぐらいまでは大丈夫よ」という方針になってるとも聞きました。

飼育のトレンドが変わっていくように、数年後には目標値も変わっていってるんでしょうね~~

また、読んでいただいた方たちの中には

「この数値より全然悪くてもサンゴ元気に育ってるよ、しかも何年も」

って方もいると思います。

サンゴも不思議なもんで、ゆっくりそういう水質になっていくと

慣れるのか耐性がつくのか、その環境でも育つようになるんですよね…

そういったサンゴを良かれと思って理想値の水槽に移すと急に白骨化したり…

ホントわがままなヤツらです……

この記事の著者

AQUASCAPE

首都圏でアクアリウムの大手メンテナンス会社に勤めたのち独立。
アクアリウムの魅力を広げるため初心者向けのコンテンツからディープな話まで幅広く情報発信をしている。
個人宅の水槽からオフィス・クリニックの水槽まで、前職の経験に基づいたアドバイスを提供していきます。
1991年生まれ。

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