養殖業界から見る~細菌病たち~
細菌を病原体とする病気で有名なのはビブリオ病ですが、他にもまだまだあります。
養殖業界ではこれらの病気にどう対処しているのか?代表的なものを一気に見ていきましょう。
エドワジラ病(パラコロ病)
原因菌は通性嫌気性の菌。Edwardsiella tardaなど。そのため好気性でも嫌気性でも存在している。魚病細菌では少ない腸内細菌科。
この菌は硫化水素を生み出す。水槽内で硫化水素が発生している時はこの菌がかなり発生していると考えられる。感染した魚の内臓や肛門付近から硫化水素臭がすることがある。感染した魚は排泄でこの菌を排出するので、感染魚は水槽内から取り出すべき。
この病気は淡水でも海水でも発生する。淡水ではニホンウナギ、海水ではヒラメやマダイで発生することが知られる。
症状
腹水や内臓に腫瘍ができたり脱鱗が起きる。
発生時期
夏~秋の高水温期に発生する。25℃付近が繁殖しやすいようだ。
対策
薬浴が有効、オキソリン酸・塩酸オキシテトラサイクリンなど。オキソリン酸は魚病薬にも使われていることが多い。また過食や過密飼育を避けることも重要。病原菌を排泄でまき散らすので隔離する。
細菌性出血性腹水病(シュードモナス病)
アユの養殖場で発生して知られるようになった病気。原因菌はPseudomonas plecoglossicidaなど。淡水で発生する。
症状
腹水や肛門拡張。体表の出血が見られることも。
発生時期
時期の傾向は無いが、20~25℃付近が繁殖しやすいようだ。
対策
有効な水産用医薬品は確認されていない、ただ実験的にワクチンの効果が見られたこともある。治療薬に対してすぐに耐性を持つ厄介さがあるようだ。
カラムナリス病(尾ぐされ病)
好気性の細菌が病原体。Flavobacterium columnareなど。尾ぐされ病の原因菌とされている。淡水で発生する。
症状
体表、エラ、ヒレなどに壊死・欠損が発生する。
発生時期
時期の傾向は無く、15℃以上の環境で発生が確認される。そのため温水魚でも冷水魚も感染する。水槽内の魚も養殖の川魚も被害にあう。
対策
薬浴が有効とされている。鯉に対してはスルフイソゾールナトリウムの経口投与が有効性を認められているそうだが、それ以外は科学的な根拠が示されてない模様。
アクアリウムでは素直にグリーンFゴールド顆粒などの薬浴をするのがよさそう。
エロモナス症
原因菌はAeromonas属菌で、同系統の菌が複数存在する。淡水でも海水でも発生するが、菌種は別のよう。淡水ではコイやニホンウナギ、海水ではヒラメなどで発生が確認される。
かつて穴あき病と一緒に扱われていたが、穴あき病で有効な昇温飼育でも病状が改善されないことから別種ということが判明し『新穴あき病』と呼ばれるようになった。(非定型Aeromonas salmonicida感染症として分けられてる)
症状
体表、エラ、腹部など各所に患部ができ赤くなる。穴あき症状も。
発生時期
低水温期に発生する。菌の培養は18℃付近の環境で実施されるので、そのあたりの水温が繁殖しやすいと思われる。ただし↑で書いた通り温度を上げても効果が無い種類の菌もいるよう。
対策
予防・治療法の確立はされていないよう。そのため濾過環境を整え過密飼育を避けるなど良好な環境を維持することが最適な対策と言われているので、アクアリウムにおいても良好な環境維持を対策と考えるのがいいだろう。
ミコバクテリア症
病気の歴史は長く、養殖業界でも古くから知られていた病気。原因菌はMycobacterium sp.やMycobacterium.marinumなど。M.marinumは観賞魚でも報告例があり、アクアリウムにおけるこの病気はこの種が病原体と思われる。この菌が傷口から感染し人にも皮膚病を起こした事例がある。
なお、ミコバクテリアとあるが医学・獣医学分野ではマイコバクテリウム/マイコバクテリアと呼ばれていることもあるが同じ病気と考えてよい。
症状
体表に腫瘍が認められず外見から判断できないことがあるが、内臓に疾患が発生する。そのため病気の感染に気付かず病気が蔓延することも。
中には腹水や黄疸が現れることも。
発生時期
時期に特徴は無く、いつでも発生可能性があるもよう。
対策
予防・治療法の確立はされていないよう。病状が慢性的経過をたどるので早期発見が難しく、症状も目に見えないので知らぬ間に蔓延していることが多い。
【まとめ】
まだまだ他にも細菌性の病気はありますが、何点か紹介させていただきました。
治療法が確立されてないものが多いですが、養殖業界では病気の研究が進んでいるためアクアリウムのヒントになるものが見つけられれば幸いです。
